2015/07/30

第23回 経営本質は外注できず! コミュニケーションが教育の原点

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

「数年間契約をして指導を受ければドライバーのレベルが上がる、っていわれたから

外部機関に依頼しようか迷っています」

ある2代目経営者の方からのご相談です。

 

ドライバーの育成。運送会社にとって、一番難しく、悩ましい問題です。今は便利な

時代で、テレビ局ですら自社で番組を作るのではなく、外注してしまっています。

かっこ良く言えば、アウトソーシング。悪く言えば、丸投げ。

外注が悪い訳ではありません。ただ、外注できることとできないことがあります。

初めから子供の養育を外注したら何のために生んだか分かりません。

奥様との生活を外注に任せたら結婚した意味がありません。(もっとも奥様との関係に

問題がある場合は分かりませんが!)

 

話を戻しますが、ドライバーの育成(養育?)についてはどうでしょうか?

外注に適しているのでしょうか? 実はここがポイントです。

ドライバーの育成を外注に適していると思うかどうかで、その会社の経営哲学、社風が

180度違ってきます。もちろん、ドライバーの育成について外注がすべてダメ!とい

う話をしたいのではありません。エコドライブの運転技術、日常点検の実地研修などの

技術面については外部のプロに研修してもらうことで改めて正しい技術を習得することが

できます。

 

ただ、です。

 

ドライバーの育成について社内で工夫し、改善を粘り強くすることをせずに、安易に外注

の研修、講習で一発逆転のマジックを期待する、という経営者の姿勢が問題だと思うのです。

少なくとも、私の知っている中小運送会社さんでドライバーのレベルが高い経営者の方は安

易にドライバーの育成を外注に任せたりしません。

 

ドライバーのおかげで会社が成り立っていること。このことを社長や2代目経営者がよく分

かっています。自ずとドライバーに対する接し方が変わります。

ドライバーが仕事を終えて帰ってきた時に経営者から自ずと声をかけます。

ドライバーも素直に表情に出すかどうかは別として嬉しいはずです。

毎日のコミュニケーションによって、ドライバーも社長や2代目経営者の気持ちがある程度

は分かるようになります。それ以上のドライバーの育成方法などないのです。

 

外部研修機関もコンサルタント(私も含め)もプラシーボ。

「技術は外注できても、経営の本質(経営哲学、経営者の魂)は外注できない。」

このことを分かって活用できる経営者なら、外注による効果も少しは出るのかもしれませんね。

 

2014.10.22