2015/04/27

第21回 猶予なしの合同監査が増加中!ブレずに王道を

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

運送業で55人。

これは今年(2014年)1月から6月までの運送業における労災死亡者数です。

昨年の同時期と比べて2倍以上に急増しています。

この影響でしょうか。

先日、ある運送会社の社長さんから、次のような電話を頂きました。

「今日、午前中にいきなり3名の人が会社にきて、いまから監査をすると言われてビックリしま

した」

実はこの監査、普通の監査とはちょっと違っていました。

“国土交通省”と“労働局”の監査担当者が一緒に行う、合同監査だったのです。

最近、労働基準監督署の監査が入る事業者が増えていましたが、ついに合同監査も増えてきまし

た。労働時間や健康管理、賃金関係は主に労働局の担当者が、それ以外の点呼や教育等の運行管

理は国土交通省の担当者が手分けして行います。

通常はどちらか一方の監査しかありません。

特に労働局の監査が先の場合には、乗務基準等の違反の程度が国土交通省の指導が必要な場合に

は労働局が国土交通省に通報することになっています。

この場合は少し事業者さんにとって助かります。

なぜなら、労働局の監査後、国土交通省の監査が入るまでの間に、乗務基準違反を改善できれば

行政処分を受けずに済むこともあるからです。

ところが、合同監査の場合には、その場で違反が発覚すれば即行政処分となります。

やはり合同監査の方が面倒です。

 

数年前に関越道で起きたバスの事故。

これまで、明らかに国土交通省の監査はバス業界に相当の時間を費やされていました。

 

特にすべての貸切バス事業者に対して、運輸安全マネジメントが義務づけられたこともあり、

そのチェック等に時間が費やされたことでしょう。

 

それもようやく一段落です。

いよいよトラック業界に対する監査もこれから本格化するのではないでしょうか。

 

本年1月からスタートした30日の営業停止処分基準。

運行管理者が不在、整備管理者が不在、名義貸し。

この3つの悪質違反の発覚で30日の営業停止処分になった事例はすでにあります。

 

ただ、まだ発令されていない悪質違反があります。

「乗務基準を著しく遵守していない場合」の30日の営業停止処分です。

いつ発令されてもおかしくないにもかかわらず、不気味に息をひそめています。

 

果たして、本当に乗務基準違反による30日の営業停止処分は発令されることがあるのか、ない

のか?

どちらにしても、乗務基準違反はすべてのトラブルの元です。

同業者の情報に振り回されず、自社だけは淡々の乗務基準違反を減らしていく。このブレない軸

を持ち続けることが大切ですね。

 

2014.9.24


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