2015/04/01

第20回 侮ると痛い目に遭う「3か月点検」

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

日常点検と同じく非常に重要な点検。それは「3ヶ月点検」です。原則、車検後の3ヶ月、

6ヶ月、9ヶ月後に行いますので年間3回必要になります。この3ヶ月点検も、やってい

なくても当面問題は起きないから盲点です。

3ヶ月点検の未実施による行政処分は思っている以上に重たいです。1台あたり、1年

間で何回未実施であったか、で行政処分の内容が決まります。具体的には、初回違反

のケースで、年間の未実施回数が

1)1回未満の場合、警告

2)2回の場合、車両停止5日×車両数

3)3回以上の場合、車両停止10日×車両数

という基準により決まります。

日常点検と同様、注意すべきは「×車両数」ということです。仮に20台の3ヶ月点検が

年間3回以上未実施であれば、なんと200日の車両停止処分(10日×20台)となっ

てしまうのです。

 

ところで、なぜ3ヶ月点検をしない、ということが起きるのでしょうか?考えられる原因の

1つが、コストです。

1台1回あたり約1万円前後のコストがかかります。例えば20台あれば、仮に1回1万

円とすれば1万円×3回(年間3回)×20台=年間60万円です。60万円のコスト増。

高いかどうかは各々事業者の経営状況により違うでしょうが、少しでも出費を抑えたい

と思う事業者もいるでしょう。

しかし冷静に考えてみて下さい。

未実施による車両停止200日車。

1台200日分の売上喪失と60万円の不正な経費削減。どう考えても割に合いません。

更に言えば、車両停止200日により、運送会社に対して違反点数「20点」が付与されます。

もし、“同じ監査時”に3ヶ月点検以外の法令違反を指摘され、70日車以上の行政処分が

算されると、合計「車両停止270日車」となります。車両停止10日車で「1点」の違反点数

が与えられますので、違反点数が「27点」になります。

1回の行政処分で違反点数27点以上になると、原則「3日の営業停止」になってしまいます。

たかだか3ヶ月点検ですが、大きな痛手になることがあります。

 

まだ、あります。

これだけ3ヶ月点検の未実施による行政処分が厳しくなると、事業者の対応は2つに分かれ

ます。

1つ目は、真面目に実施するようになるタイプ。(これが普通ですが)

2つ目は、やったことにするタイプ、です。

言うまでもなく、2つ目が問題です。

外注は経費がかかるからと、自社の整備管理者に3ヶ月点検をやったように点検記録を作成

させます。いわゆる「記録の改ざん、不実記載」の問題です。2013年10月の行政処分基準の

改正で、「記録の改ざん、不実記載」に対する行政処分がとても厳しくなりました。

具体的には3ヶ月点検の未実施違反とは別に「車両停止30日車」の行政処分が追加されます。

 

いかがでしょうか?

トラックを購入したばかりで故障はしないから・・・。

経費がかかるから1回くらいは・・。

ちょっとした気のゆるみが万病の元。

まさに3ヵ月点検、あなどるなかれ、です。

 

2014.9.10

 


タグ:連載