中京陸運グループの名古屋陸送(森田理人社長、愛知県名古屋市熱田区)では、中部国際
空港(セントレア)~富山・小松空港間を運行するルートに「大型天然ガストラック」を導入、3
月5日にセントレア営業所で出発式を行った。名古屋市内に本社を置く企業として、また北陸
地方を運行するルートとしても初の導入となる。今回の取り組みは、名古屋陸送と東邦ガス
㈱が共同で、環境省と国土交通省の「物流の低炭素化促進事業」の補助金を活用した。また、
同ルートは中部国際空港利用促進協議会がセントレアの航空貨物の増大・利用促進を目的
に実施するトラック共同輸送の一環となる。一方、東邦ガスは、環境にやさしい次世代自動車
のひとつとして、天然ガス自動車の普及に取り組んでおり、近年の新しい分野として、都市間
輸送用途の大型天然ガストラックの普及を目指している。大型天然ガストラックは、二酸化炭
素、NOxの低減など環境面のメリットに加え、輸送分野での石油依存を抑制することでエネル
ギーセキュリティにも貢献する。
森田社長は「セントレアは航空貨物が活況を呈している。荷主様から正確で安全な輸送を要望さ
れている中で、弊社はことし1月にISO39001(道路交通安全活動の国際マネジメントシステム規
格)の認証を取得した。日頃さまざまな活動、訓練を通しドライバー一人ひとりに自覚を持たせ組織
全体で安全・正確な輸送を推進している。同時に、以前から環境保全についても積極的な活動をし
てきた。その一つとして10年前のセントレア開港年に中部国際空港CNG車普及モデル事業に参加
し当社最初の天然ガストラックを導入し、今回9台目となる大型天然ガストラックの導入に至った。
天然ガスの充填所インフラ等に不安もあったが、愛知県、石川県、富山県の各ガス会社様のご協力
もあり今回の出発式を迎えることができた」とあいさつした。
中部運輸局自動車交通部の伊藤元二次長、愛知県トラック協会副会長で環境対策委員長の若杉福
雄氏による祝辞の後、キー贈呈式とテープカットが執り行われ、ドライバーが初運行に出発した。その
後、会場をセントレア内のクイーン・アリスアクアへ移し、懇親会が催された。
車両はいすゞ自動車のディーゼルトラックを改造したもので、排ガス処理装置を取り外し、空いたスペ
ースに天然ガスボンベを設置した。車両価格は改造費を含めおよそ2500万円で、うち半額が補助さ
れる。燃料となる天然ガスの単価については非公表だが、軽油よりも多少安い価格設定だという。
いすゞ自動車は、今年中に天然ガストラックを量販する予定で、東邦ガスでは「今回の取り組みはその
先駆けとしてこれからの普及に弾みがつくと考えている」としている。
2015.3.11