中京陸運㈱(鷹見正彦社長、愛知県名古屋市熱田区)では、業界のイメージアップを目的として、
名古屋市交通局が運行する市バスの1台にラッピング広告を施した。このラッピングバスは3月
29日から運行を開始している。
走る広告塔と呼ばれるトラック。大型を中心におよそ500両を保有する同社でも、普段見かけ
ない日はないと言ってもいいほど街中を走っている。そんなトラック運送事業者がなぜバスにラ
ッピング広告を掲載するのか。鷹見社長はまず、「自社のPRというよりもトラック運送業界全
体のイメージ向上が大きな目的」と説明する。そのうえで、「普段トラックが走っていても女性
や子どもなど一般消費者にとってそれほど関心はない。それならば一般の方がよく利用する市バ
スに広告を出せば業界の認知度が高まると思った」と、媒体として市バスを活用した理由を話す。
名古屋圏の生活者およそ308万人のうち、1週間に1度でも市バスを利用する人は42万人(1
3・6%)、月に1度でも市バスを利用する人は65万人(21・0%)に上る。また、性・年齢
別の利用率を見ると、男性と女性では女性の利用が目立ち、なかでも10代、 20代の若い層と6
0代の高齢者層の女性に良く利用されており、そうした層へのPRに大きな効果が見込まれる。
ラッピング広告には、「LOGISTICS SOLUTION」という文字が大きく書かれ、「物
流のチカラで未来へ」と語りかける。市バスのイメージカラーである青をベースに、雲を世界地図
に見立てた大空と、その先の未来を見つめる鷹が雄大に描かれている。そしてグループの象徴であ
る赤い鷹のロゴもワンポイントとして映える。
「3Kと呼ばれ敬遠されがちなこの業界だけに、こうした取り組みによって少しでも業界のイメー
ジが向上し将来の人材確保につながっていけば嬉しい」と鷹見社長は話す。ラッピングバスは、今
後1年間、名古屋市内を走る。名古屋市交通局によると、同局では現在、全1012台の市バスを
運行しており、うち87台がラッピングバスとして走行中だという。
2015.4.8