倒産した運送会社から身に覚えのない債権通知が届いたら?
-昨年6月、愛知県春日井市の運送A社は、㈱北都物流(秋田県由利本荘市)という運送会社の
運送債権について、「当社が譲受けたので売掛金を支払ってほしい」という請求通知が、東京の
債権回収会社から届いた。
金額は数万円だったが、まったく身に覚えがない。
調べてみると、㈱北都物流は昨年6月2日、事業を停止し、事後処理を平野一史弁護士(由利本
荘市)に一任、自己破産申請をしていた。大型から小型トラックまで約25台を所有し、09年3月
期には売上高5億2100万円を計上、地元資本ではトップクラスの業容に成長したが、拡大に伴って
07年の不動産取得や翌年の自社スタンド建設、車両増強などで資金が固定化していたところに、
リーマン・ショック後の世界的な景気後退で受注量が激減、資金繰りも余裕のない展開が続き、
13年3月期の売上高は4億3400万円にとどまっていた。その後も受注は伸びず、軽油価格が高止ま
りの状態が続き、借入金の返済条件を緩和するなどの措置も業態改善に至らず事業継続を断念、
自己破産という事態となったようだ。
過去の膨大な取引データをすべて調べたが、やはり同社の名前は出てこない。A社長は、不審を覚え
ながらも専門家に相談したうえで、取引実績がない点、したがって身に覚えのない債務を支払う意
思はない旨を書いた回答書をFAXしたところ、それっきり連絡はないという。
「金額が安いだけに面倒を避けて支払う会社もあると思うが、相手はそれが狙いなのかもしれな
い」と推測。「実際の会社名を使ってあたかも取引があったかのように請求してくるのでうっか
り騙されやすい」と注意喚起する。
このような架空の債権請求について法務省では、「支払わない場合『裁判になる』、『集金に行
く』などと脅しのような文句があったとしても、慌てて支払うことのないようにしてほしい。一
旦、支払ってしまうと、取り戻すことは困難になる。また、支払ったことにより更に新たな請求
を受けるケースもある」とする。
また、「実在する債権回収会社でも請求根拠に心当たりがない場合、なりすましている可能性も
考えられる。確認のため法務省ホームページに掲載された債権回収会社の正しい連絡先に問い合
わせてみてほしい 」と呼びかける。
2015.6.24