旧タイプの装置が奏功―。メイカ物流㈱(加納淳社長、愛知県名古屋市中川区)では、
保有するクレーン車が夜間、何者かの手によって盗難された。今月3日の朝にドライ
バーが出社すると車庫にあるはずのクレーン付き4トントラックがなくなっていた。
連絡を受けた加納社長がすぐにGPSで車両の位置確認を試みた。デジタコ一体型では
ない旧型だったことが幸いしてかGPS機能は生きており、トラックを追跡することが
できた。
GPSによると、盗難されたのは2日午後9時50分。犯人はその後、国道22号を北上、
北名古屋市「中之郷南」交差点からほど近いガソリンスタンド裏の田園地帯で朝6時まで
停泊していた。
そしてGPSでトラック追跡を開始した時は、トラックはまさに岐阜県方面に向かって走
行している最中だった。加納社長はすぐに警察に通報。GPSはその後、午前7時に岐阜
市のある地点でオフになった。
地図で調べてみるとそこは「林解体」(岐阜市水海道1丁目)という解体工場だった。
通報を受けた警察が林解体に到着したのは午前9時。しかし、このわずか2時間で、トラッ
クのパネルは開けられ、GPSをはじめとする電装部品はキレイに取り外され、すでに走行
不能状態となっていた。
また、デジタコについても盗難直後に断線されていた可能性が高いという。
現在(5日時点)、岐阜県警察は林解体の経営者に任意で同行を求め調べを進めている。経
営者によると、トラックを持ち込んだのは数人の外国人だが、初対面で誰なのかは分からな
いと話しているという。
この説明について加納社長は「知らない人から持ち込まれた車両をたった2時間の間に手際
よく解体作業に取り掛かれるだろうか」と疑い、解体業者も共犯である可能性が高いのでは
と推測する。
同社では、ある特定の操作をしなければセルモーターが回らない仕組みを導入するなど、さま
ざまな盗難防止策を施していたというが、今回の犯人グループは、トラックの解錠についても
ガラスを割る乱暴な手法ではなく、鍵穴に道具を入れて行っているなど鍵の分野に相当精通し
ているグループである可能性が高い。
「クレーン付きトラックは盗難率が高いので注意をしていたが盗まれてしまった。ただ、古い
GPSシステムを装着していたおかげでトラックを早期に発見できたのは不幸中の幸いだった」
と話す。
なお、林解体の入口にはネットが張られており入ることができないだけでなく、警察車両が常駐
している状態である。事件の早期解決が望まれる。
2015.6.10