運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ
「いったい、どれくらいの行政処分になるのか知りたいです」
最近、国土交通省の監査を受けた運送事業者さんからのご相談です。
監査指摘事項は次のとおりです。
1.点呼を行った旨の記録がなされていなかった。
2.点呼を行った旨の記録が一部保存されていなかった。
3.乗務等の記録が一部保存されていなかった。
4.運転者台帳の記載事項等に一部不備があった。
5.運転者に対する指導監督が不適切であった。
6.運転者に対する指導監督に係る記録がなされていなかった。
7.運転者に対する指導監督に係る記録が保存されていなかった。
8.補助者としての要件を満たしていない者を選任していた。
9.国土交通省告示による運転適性診断を受診させていなかった。
10.乗務員の健康状態の把握が確実になされていなかった。
11.点検基準に基づく定期点検整備が確実に実施されていなかった。
12.社会保険等に一部加入していなかった。
何と違反件数12件!
しかもドライバー自身が死亡した事故。
さらに労働基準監督署は運送事業者と社長を労働基準法違反で書類送検しています。
さあ、読者のみなさん、行政処分はどれくらいになるのでしょうか?
「最低10日車〜最大120日車+α」くらいが予想されます。
+αは「定期点検未実施」の違反の程度によりかなり行政処分に幅があるからです。
1台あたり、年間の未実施回数が1回の場合は「警告」、2回の場合は「5日車」、3回以上の
場合は「10日車」となっています。
それどれの違反車両数×になりますので、3ヶ月点検の未実施による行政処分は意外に軽視できません。
それでも12件の法令違反をしても
「一番軽い場合で10日車」になることがあるのは少し驚かれるかもしれません。
ただ注意が必要なのは、3年以内の違反、いわゆる「再違反」です。
今回のケースで大雑把に試算してみますと、最悪のケースで「250日車+α」くらいになり、
かなり重い行政処分になります。
1回目の違反と同じく、+αは「定期点検未実施」の違反の程度によりかなり行政処分に幅があるからです。
1台あたり、年間の未実施回数が1回の場合は「5日車」、2回の場合は「10日車」、3回以上の場合は
「20日車」となっています。
それどれの違反車両数×になりますので、3ヶ月点検の未実施による行政処分は「再違反」をすると
行政処分は「営業停止」にまで発展する可能性が大です。
初めての違反で軽くても、絶対に油断しない!
今年から本格スタートした行政処分基準に対する大切な姿勢ですね。
2014.6.11