2014/12/08

和田康宏の「転ばぬ先の知恵」Vol.8

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

3月上旬に高速バスによる多重事故が発生してしまいました。

サービスエリアに駐車中の大型トラックに高速バスが追突し、

バス運転士1名、乗客1名が死亡しました。

事故原因は運転士の健康上の問題の可能性が高いようです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)や病気の発作などではないかと報道されています。

事故を起こしたバス会社は運転士に簡易SAS検査を実施しており、

今回の事故を起こしたバス運転士が「要経過観察」でしたが、産業医の

「業務に支障なし」との意見で運行を継続していました。

既に国土交通省の監査は入っており、「明らかな法令違反は見つからなかった」

と報道されています。

さらに「11日連続勤務」があたかも問題であるかのような報道をされていましたが、

36協定で休日労働の協定が締結されていますので、その点も問題ありません。

今回の事故で安全管理のむずかしさを改めて思い知らされました。

バス会社に安全管理上問題があったかといえば、おそらく大きな法令違反等は

ないように思います。

国土交通省の行政処分としては比較的軽めになるのではないでしょうか?

それにしても「健康管理」。

運送会社としてはどこまでやったらいいのか迷うところです。

通常は年1回の健康診断、深夜早朝労働の場合には6ヶ月の健康診断は

読者のみなさんの会社でも実施していることでしょう。

問題はそこから先。

1.診断結果で「異常あり」のドライバーに対して「再検査」を勧めているか。

2.投薬、通院状況については点呼時などに確認しているか。

3.高血圧、心血管系疾患、糖尿病に該当するドライバーや該当するおそれのある

  ドライバーに対して「自己健康チェック(めまいはないか?息切れはしないか?等々)

  をさせているか。

この3つの取組みを運送会社として実施しておくのがベストです。

実際、死亡事故を起こした時の国土交通省の監査で、健康診断の受診後のこれらの

取組みを評価された事業者さんもいました。

40代は若手、60代もまだまだいける。

これが運送業界の実態です。

ドライバーの高齢化はしばらく続きます。

「ドライバーの高齢化と健康管理」。

バス業界だけでなくトラック運送業界でも当面の優先課題です。

読者の皆さんの会社では、もう対策は万全でしょうか?

 

2014.3.12


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