運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ
「総点呼回数の3分の1。」
“運行管理者本人”が実施しなければならない最低点呼の割合です。
昨年の行政処分基準の改正で、あたかもなくなったかに見えるこの基準。
実は立派に今も生き続けています。
誤解が多いのは、旧行政処分基準(公示)には「運行管理者による点呼 1/3未満」
と記載されていたのが、新行政処分基準(公示)には記載されていないからです。
運行管理者3分の1以上の規定は
「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(通達)で規定されています。
では、今後、運行管理者による点呼が3分の1未満になってしまった場合、どのような
行政処分になるのでしょうか?
初回であれば「支局長決裁による口頭注意」または「担当監査官による指導」になる
可能性が高いようです。
ただ注意すべきは、3分の1未満を再違反した場合には、警告、車両停止等の行政処分になります。
また、今回の改正で今までなかった行政処分基準が新たに創設されました。
その1つが「点呼不適切」違反です。
「一部」と「全部」の2つの不適切違反が新設されました。
「点呼不適切」の定義は、実施事項に不備がある場合となっています。
実施事項に不備がある、とは極めて曖昧かつ広範囲な内容になります。
運行管理者による点呼3分の1未満が、おそらく「点呼不適切」に該当する可能性が
高いということです。
今後の点呼体制も、やはりこれまでと同様に運行管理者による点呼3分の1以上を
キープする必要があります。
ただ、業務繁忙期等でどうしても厳しい状況の時もあるかもしれません。
その場合でも点呼をあきらめてはいけません。
何とか「補助者」による点呼だけでも実施したいものです。
今回の行政処分基準の改正は「アメとムチ」が基本的な考え方です。
軽微な違反は軽めに、重大な違反は重く、という考え方です。
以前の基準であれば、即車両停止処分になった運行管理者3分の1未満の点呼違反。
「とにかく補助者を活用してでも点呼実施回数を増やしなさい。その努力は評価しますよ。」
新基準の内容を読めば読むほど、そのように私に語りかけてくるのですが、
読者の皆さんはいかがでしょうか?
2014.3.26