ダイショーライン(愛知県春日井市)会長の永田一夫さんは、何をするにも常に万全の体勢で
臨むことをモットーとしている。たとえば、車両の整備においてもそうだ。同社では修理が必要
か否かのレベルを3段階で示すことにしている。「最初の3か月点検で修理の必要性がない場
合はワン、まだ使えるけれど次の3か月点検で修理・交換したほうがいい箇所はツー、すぐに
でも修理・交換すべき箇所はスリーというかたちで管理している。運行中に故障すれば損害が
大きい。多少コストはかかっても整備段階で完璧に部品の状態を把握し修理交換しておくことが
大切」と話す。そうした情報をドライバー含めスタッフが共有することでトラブルを未然に防ぐ。
また、過去にはこんなこともあった。2009年の新型インフルエンザ流行時。コンビニやドラッグス
トアの店頭から一斉にマスクが消える中、永田さんは、なんとその1年前からウィルス対策用マ
スクのストックを開始していた。およそ800枚を準備し従業員に配布するなど感染の予防に寄
与することができた。「近い将来、必ず新しいインフルエンザが発生すると言われていた。食品
輸送をしている関係もあり会社に1人の感染者も出さないよう準備してきた」とその理由を説明
する。マスクだけでなく、各トラックには、うがい薬や手洗い用消毒液も積み込み、荷主に対して
安全・安心をアピール。信頼にもつながった。
また、同社では、大量の水や缶詰、米、乾麺などの食料品のほか炊き出し用具、自家発電装置
などを自社倉庫に常備しているが、これは将来、大震災などでライフラインがストップした場合に
備えてのことだという。
永田さんは「従業員は家族同然。家族だから辞める人間はほとんどいない。私1人ではなくスタ
ッフ全員が裕福ではなくても安心して生活できるよう万一に備えている」と話す。
2014.9.24