「恥ずかしながら継続できるものだと思っていたGマークに落ちてしまった。しかし、それが
現在のモチベーションにつながっている」。こう語るのはフジセーレック㈱(静岡県袋井市)
社長の加藤真二さんだ。Gマークとは、トラック運送事業者の交通安全対策等について、
事業所単位における取り組みを評価し、一定の基準をクリアした事業所を『安全性優良事
業所』として認定する制度。適正化実施機関による巡回指導で、24時間点呼の未実施な
ど複数の不備を指摘されていたので「(認定取り消しは)仕方のないことだった」と潔く非を
認める。そこで加藤さんは、これを機にコンプライアンスの徹底に取り組むことを決意する。
昨年10月からはコストはかかったが人員を配置して24時間点呼を完全実施。また、守る
ことが困難と半ば諦めていた拘束時間の問も、思い切って仕事自体を減らすことで対応し
た。「合計で月1000万円の仕事を打ち切った。中には30年以上の付き合いのあるお客
様の仕事も、交渉の結果、折り合いがつかずに断ることとなった。今の仕事内容で拘束時
間を守ろうとしても無理だった。それなら思い切って取捨選択するしかない」と、苦渋の決断
だったことを吐露する。その他、ドライバーの賃金体系も法律に適したかたちに変更する。
これまで採用してきた“みなし労働時間制”や各種“手当”を盛り込んだ賃金体系から完全
時間給制に移行。従来の賃金に比べて大幅なブレがないよう留意をしつつ、実際に残業し
た時間の手当もしっかり計算し賃金として反映させる体系を整えた。こうしてかつて指摘さ
れた不備や違反事項をほぼすべてクリアすることに成功した。「苦しく厳しい取り組みだが、
(法令順守は)いずれはやらなければならないこと。しっかりやっていればいつか必ず報わ
れると信じているし、守れない会社には将来はない」と語る加藤さん。Gマークの失敗も「初
心に戻る良い転機だった」と前向きにとらえている。そして「しかしこのままでは悔しいので、
来年は再取得にチャレンジするつもり」と笑顔で決意を語る。
2015.1.14