「商売はシビアにコツコツがモットー」。
こう笑顔で話すのは㈲ヒラノ流通(愛知県丹羽郡大口町)社長の平野守久さん。
普段は温厚で友人も多い平野さんだが、ことビジネスに関しては自他ともに認
める厳しさを持つ。
公私共に親しい同業者の友人は平野さんのことをこのように話す。「いくら親し
い相手であっても、運賃など、より条件の良い他社があればそちらに車を出す。
常に利益を重視するので、時に『彼には義理人情がない』と言われることもある
が、ビジネスとしては当然の判断だと思う」。
孫子の兵法によると、「シビア」さとは、当たって砕けたら死ぬ、負けたら死ぬ、
という命がけの判断にあるという。だから条件の悪い戦いは極力避けるであろう
し、勝てるかどうかを吟味し、慎重に命令を下す。きちんとストーリーを描き、
計画を立てて、シミュレーションする。そのうえで戦いをするのだ。
「経営者は社員とその家族の命を預かっているという責任がある。だから経営判断
は常にシビアであるべき」と平野さんは言い切る。
しかし、いったん仕事を離れると義理人情の人でもある。
数年前、同業仲間の自宅が豪雨で浸水した際、誰よりも早く駆けつけ食料を届ける
と共に休日返上で復旧作業を手伝ったエピソードは、その人柄を示す好例だ。
昨年の売上は前年に比べて2億円近く伸びるなど大きく成長した。
理由は「利益重視でコツコツやってきたから」。
ことしの抱負を聞くと、「先のことは分からない。自車をしっかり動かすなど目の前
のことをコツコツ一生懸命にやって利益をあげるだけ。ボクらみたいな中小零細企業
はそうするしかしない」と話す。
2015.1.28