2015/01/16

ブレーク必至? 「体当たりネタ」で問題に切り込む

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コラアゲンはいごうまんさん

1988年5月NSC入学(7期生)

1989年6月~1990年8月オール巨人の二番弟子として修行

後に吉本興業所属として、関西の寄席演芸場、テレビ、ラジオで活動
1999年フリーとなり上京。活動の場を東京に移し、様々なネタライブに出演
2001年喰始と出会い、今までとは違う芸風を作り上げる。ノンフィクションスタンダップコメディアンとして活動開始

2003年4月WAHAHA本舗の新セレクション・WAHAHA商店に参加

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開始早々、会場を爆笑の渦に巻き込むトーク術。内容も業界の勉強をしっかりして

おり濃くて深い。この男、今後トラック運送業界の講演に引っぱりダコになるかもし

れない。彼の名は「コラアゲンはいごうまん」。聞きなれない名前だがれっきとした

お笑い芸人だ。吉本興業でキャリアをスタートし、雨上がり決死隊の蛍原徹とコンビ

組んでいたこともあったが、ある日突然解消を告げられる。

その後も鳴かず飛ばず。ついに吉本からもクビを告げられた苦労人だ。売れることは

無理でも、唯一無二の芸をやればお笑いで食べていけると説かれて考えた結果、

現在の芸風を確立する。それが、演出家から出されるさまざまなテーマにたった

一人で挑み、調査し、体験した出会いやエピソードを典型的な大阪漫談スタイルで

講話する、「ノンフィクションスタンダップコメディ」だ。

実話だから説得力のある体験談の壮絶さで、観客に爆笑と感動を与える。

 

ヤクザが朝礼で安全運転指示
 

ネタのレパートリーは、「インド」、「宇宙」、「催眠術」、「刺青」、「ヤクザ」、「幽霊」、「裁判」、

「焼津」、「親孝行」、「あいだみつを」、「宗教」、などがある。例えば「宗教」では、西日本の

ある宗教団体の総本山へ体験入門したおもしろ経験を紹介。

また、「ヤクザ」では、やはりヤクザの見習いとして住み込みをした体験談を披露する。

「ヤクザの世界にも朝礼というものがあるんですよ。それでね、朝礼のリーダーがあいさつ

で『最近交通事故が多いから車の運転にはくれぐれも注意するように』って言うんですわ。

でね、それだけでももう笑ってしまいそうなのに、その後『特に無免許のヤツは注意するよう

に』って。これ一般の世界じゃありえへんでしょ?しかも後ろのほうから『へい』って聞こえる

んです。お前無免許やったんか!って、もう笑いをこらえるので必死でした」。

 

「屁がこけない」で大爆笑
 

そしてこの日は、トラック運送業界の集まりでの講演。

主催者の一人と懇意にしていることから呼ばれた。そして主催者から事前に出された“お題”は

「国交省に乗り込み、いまの法律の矛盾について訴えること」。

業界の知識もなくイマイチ意味がよく分からないコラアゲンさんが主催者に詳しく聞いてみると、

この業界には矛盾したような法律がたくさんあることを教えらえた。その一つが、ドライバーの

運転時間。「ドライバーは最大でも1日に9時間しか運転することができないんですね。運転して

いたら時に渋滞に巻き込まれたりすることもあるでしょう。極端な話、事務所まであと200メー

トルまで来ているのに9時間を超えたらドライバーはそこで止まって寝なければいけない。

あと200メートル行くためにそこで8時間寝なければならない」。それはおかしいだろうと訴えて

こいというのだ。さらに主催者はこう付け加えた。

”そう言うとな、必ず国交省は『ではツーマン体制にしてください』と言ってくる。しかしそれは

人件費がかかるから資金が潤沢な大手くらいしかできない。何より問題なのは例えば2日間の

運行中、家族でもない、友達でもない相手と狭い空間を共に過ごさければならないことだ”。

「はあ、それで僕は何を聞けばいいんでしょう?」

話が見えないコラアゲンさんに主催者は衝撃的な指令を出した。

”これではおちおち屁もこけない。屁がこけなければドライバーの健康にもよくない。

これを国交省の役人に訴えてきてくれ”。

「お笑い芸人が国交省に出向いていきなり『今の法律じゃ屁もこけない』なんて言ったら

ひいき目に聞いても頭おかしい人でしょ?」。

果たして、コラアゲンさんは与えられたミッションを遂行し、国交省に体当たり質問ができ

のか、それともあえなく追い返されたのか?

この先、国交省官僚とのさらに面白い展開が待っている。

軽妙なトークと笑い、そして業界の矛盾をにわか知識でなく実際に体験して話をするその

リアリティに時間があっという間に過ぎていった。

 

2014.7.23