運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ
今回は、2013年10月1日からスタートした国土交通省の監査方針についてのお話です。
「悪質な事業者」。
これが今後の運輸監査のキーワードになります。
国土交通省は「悪質な事業者」に対して集中的な監査を実施する方針を打ち出しました。
それでは、「悪質な事業者」とは一体どのような事業者を指すのでしょうか? 重大かつ
悪質な法令違反を犯している運送会社。このような運送会社が「悪質な事業者」となります。
そして悪質な事業者を優先的に監査できるようにするために国土交通省が考えていること。
それは、「ブラックリスト」を作成し、重大かつ悪質な法令違反の疑いのある運送会社を狙い撃ち
することなのです。もちろん断っておきますが国土交通省は「ブラックリスト」とは表現していません。
「各種通報、法令違反歴等を基に優先的に監査を実施する事業者及び継続的に監視していく
事業者のリストを整備する」と表現しているだけです。
このブラックリストは次の2つの観点から作成されます。
1)重大かつ悪質な法令違反の疑いがあること。
2) 過去の監査、行政処分等(事業の停止処分、自動車等の使用停止処分、
警告、勧告等)の状況、利用者等からの苦情等。
ブラックリストに載った事業者は優先的に監査を受けることになるのは当然として、更には
国土交通省に“継続的に監視”される状況に置かれます。
関越道での高速ツアーバス事故については、当該事故の7年前にツアーバス事業者が
監査を受けていたにもかかわらず、国土交通省が法令違反の改善状況をチェックしないまま
放置されたことが事故の遠因と言われています。
この反省から行政処分後の“継続的な監視”にも力を入れていく方針です。
これまでは行政処分後のフォローアップ監査で問題がなければ、継続的に監視されることは
あまりありませんでした。
しかし、今後は行政処分後のフォローアップ監査を受けた後も再度監査に入られることもあるでしょう。
行政処分後も気を抜かず、法令違反の改善を継続して行っていくこと。
この当たり前のことが今まで以上に大事になります。
2014.1.8