2014/12/02

和田康宏の「転ばぬ先の知恵」Vol.02

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

前回の続きです。

今回の監査方針・行政処分の改正の本丸。

“悪質、重大な法令違反”とは具体的には次のとおりです。

1)運行管理者の不在

2)整備管理者の不在

3)全運転者に対して点呼未実施

4)監査の拒否、虚偽の陳述

5)名義貸し、事業の貸渡し

6)乗務時間基準の著しい違反

7)全ての車両の定期点検整備が未実施

今回は「監査の拒否、虚偽の陳述」です。

読者の皆さんは、「ウソをついたこと」はあるでしょうか?

軽いウソ、重いウソと「ウソ」にはいろいろあります。

今回のウソは、国土交通省の監査時に運送会社側がつくウソです。

いわゆる「監査時の虚偽の陳述」です。

税務署の調査であれ、労働基準監督署の監査であれ、全くウソを

つかない経営者はいるのでしょうか?

意識的か無意識かは別として、人間は自分に都合の悪い話はしないと

思うのは私だけでしょうか?

都合の悪い話をしないどころか、勝手にねじ曲げて説明してしまう弱さが

あるのも人間なのかもしれません。

今までの国土交通省の監査でも、勇気、度胸、根性でウソをついて乗り越えて

きたという社長さんもいるかもしれません。ところが、です。

今回の10月1日からの監査基準の改正は、従来の監査姿勢を180度転換する

ように警告する内容となっています。

「30日間の営業停止」。

監査時に“虚偽の陳述”をした運送会社に対する行政処分の基準です。

簡単にいいますと、「ウソで30日間の営業停止」になるのです。

監査時に真実を語らない運送会社に対して無駄な時間を費やさず、効率的に監査を

遂行するための牽制球の意味合いのある行政処分基準のように思えます。

この新基準によって運送会社側としては国土交通省の監査官に対して軽率に

ウソの説明をすることができなくなるでしょう。

何しろ「30日間の営業停止」になるかもしれないわけですから、ウソは死活問題です。

デジタコの出発地データを一定期間分確認すれば、たとえ点呼記録に「対面」点呼と

記載されていても「不実記載」であることは簡単に見破られます。

それなのに、そのことに気づかず、国土交通省の監査で「対面点呼を実施している」

と言い切ったらどうなるでしょうか?考えてみただけでも恐ろしい話です。

「ウソの説明は絶対にしない!」。

運送会社の監査に対する誠実な姿勢が求められる時代となりました。

 

2013.12.11


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