2014/12/01

和田康宏の「転ばぬ先の知恵」Vol.01

運送会社専門のコンサルタントとして活躍する「あいち経営コンサルタント」の和田康宏氏。コンサルタント実績は300社を超え、多くの社長・ドライバー・管理職と接してきたその実績はどんなコンサルタントよりも中身が濃いと評判だ

 

「私たちも、こんなに厳しくしていいのかと思うくらいです」

ある運送会社の監査時に、国土交通省の監査官が発した言葉です。

昨年4月に関越道で発生した高速ツアーバスによる死傷事故。

死者7名負傷者34名という、悲惨な事故でした。

あれから1年以上、運送事業者に対する監査のあり方についての議論がされてきました。

監査基準はすでに10月から、一般的な行政処分基準は11月から施行されました。

そして来年2014年1月からは、今回の安全規制強化の本丸となる大変厳しい

行政処分基準がスタートします。

今回の監査方針・行政処分の改正の本丸。

それは“悪質、重大な法令違反”を犯した運送会社に対する「30日間の営業停止処分」です。

これまで1つの法令違反で受ける最大の営業停止処分は「14日間」でした。それと比較しますと

今回の「30日間」の営業停止処分がいかに重い処分かがご理解頂けると思います。

“悪質、重大な法令違反”とは具体的には次のとおりです。

1)運行管理者の不在

2)整備管理者の不在

3)全運転者に対して点呼未実施

4)監査の拒否、虚偽の陳述

5)名義貸し、事業の貸渡し

6)乗務時間基準の著しい違反

7)全ての車両の定期点検整備が未実施

上記で一番問題となるのが「乗務時間基準の著しい違反」です。

特に長距離運行をしている運送事業者にとっては本当に悩ましい問題になります。

改正前、労働法令違反で営業停止になる最多のケース。

それは、“重大事故を起こした”ドライバーが、乗務時間基準を“31件以上”違反していた

場合に「3日間の営業停止」になる、というケースでした。

ドライバーが重大事故を起こしたときが最大のピンチ、だったのです。

ところが“来年1月1日”からは全く考え方を改めなければならなくなりました。

“重大事故を起こしていなくても”営業停止になるからです。

具体的には

「乗務時間基準31件以上のドライバー3名以上、かつ、全ドライバーの過半数が拘束時間違反」

に該当したら「30日間の営業停止」になります。

現在の3日間の営業停止でもかなり経営的には厳しいです。

それが「30日間」です。

いかがでしょうか?

現在、乗務時間基準の違反件数をドライバーごとにデータを把握できているかどうか?

すぐにチェックしてみて下さい。

もし、まだデータを把握できていないのであれば、大至急データを収集しましょう。

ドライバー1人あたり、1ヶ月間で「31件」以上の乗務時間基準の違反があるかどうか、です。

「乗務時間基準の違反」の改善は運送会社の最優先課題です。

 

2013.11.27


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